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オーストリア料理は、文化の歴史

食べ物が身体と精神をつくる、と言われますが、この有名な諺にはもっと深い意味が込められています。その国の国民が食している物を知れば国の気質が分かります。 では、オーストリアの各地域にある数多くの名物料理は、地元の人々の何を明かしてくれるのでしょうか? 一つ明らかなのは、オーストリア人は食通であるということです。

Wiener Schnitzel © Österreich Werbung  Eisenhut & Mayer
Wiener Schnitzel © Österreich Werbung Eisenhut & Mayer
Apricot Dumplings © Österreich Werbung  Eisenhut & Mayer
Apricot Dumplings © Österreich Werbung Eisenhut & Mayer
Linzer Torte ©  Österreich Werbung  Wolfgang Schardt
Linzer Torte © Österreich Werbung Wolfgang Schardt

食べ物とはアイデンティティです。それは、家族や、文化的な地域性、国家の結束などとの密接な間柄を、私たちに感じさせてくれる感覚の重要な一部分です。例えば、英国人にとっての典型的な料理はフィッシュ&チップスであり、アメリカ人にとってのそれはハンバーガーであり、日本人にとっては寿司です。そして、オーストリア人にとっての典型的な料理といえば、もちろんウィーナー・シュニッツェルです。
 
というわけで、名物料理とはその国や地域の象徴であり、その国の魂や、他の文化に対する寛容性を表すものです。それを簡単に言うと…。中国原産のアプリコットと、東南アジア原産の植物由来製品である砂糖を合わせて、ボヘミアの調理法である小麦粉の団子を作ると、オーストリアの風光明媚なワッハウ渓谷の文化の象徴である、杏子の団子「マリレン・クヌードゥル」が出来上がという次第です。
 
このように、異文化間の交流がなければ、今日私たちが楽しんでいるオーストリア名物と言われている料理やその調理法の多くは、決して日の目を見る事はなかったでしょう。常にオーストリア人は、幅広くさまざまな文化から吸収し、組み合わせて、一皿にまとめ上げる技においては、真のマイスターです。オーストリア料理のメニューに目を通せば、それはまるでヨーロッパ文化の歴史を紐解き、古の時代を訪ねるかのようです。
 
有名なウィーナー・シュニッツェルを例にとってみましょう。そのルーツは、ウィーンではなくベニスです。すでに16世紀にはイタリアの料理人たちは、肉をパン粉に包み油で揚げていましたし、それより古くは、コンスタンチノープル(現在のイスタンブール)のユダヤ人が同じ料理法を用いていました。言い伝えによれば、このような肉のフライは、オーストリアの陸軍元帥であったラデツキー伯爵が、1857年にオーストリアにもたらしたと言われています。そして、帝政時代にオーストリアのチェフたちがそのレシピを今日に見るような、とても美味しいオーストリアの定番メニュー、ウィーナー・シュニッツェルとして完成させたのです。
 
リンツァートルテもまた、国境を越えて広く知られる、オーストリアの美味な一皿です。その名は、オーバーエステライヒ州の州都リンツに由来し、そのレシピが記述され初めて書物に残された世界初のケーキであるという点でも、非常にユニークなものです。このケーキが最初にその名を知られるようになったのは、フランコニア(現在のドイツ中南部から南ドイツの北部に位置する地方)出身のヨハン・コンラッド・フォーゲルが、リンツのお菓子職人の未亡人カタリーナ・クレスの店で働き始めた1822年頃のことです。これが、このケーキのサクセスストーリーの始まりでした。そして現在、リンツァートルテはザッハートルテと共に、遠く外国の地でもその名を広く知られ、その味はザッハートルテと負けず劣らず、リンツの街を訪れる多くの人々に美味しいお土産として珍重されています。
 
チョコレートケーキ自体はウィーンの発明したお菓子ではありませんが、伝説的なザッハートルテはまさにウィーンが創り上げたもので、1832年にパン職人の賢い見習いであったフランツ・ザッハーが初めて焼きました。その味とデザインは、他に類をみない素晴らしいものです。しかし、ザッハートルテをすべてのチョコレートケーキの中で最も有名なケーキに昇華させたのは、息子のエドュアルド・ザッハーでした。19世紀の末までには、ザッハートルテの名はどこででも、誰もが知っている有名な商品名となり、他に例を見ないほどの大成功を謳歌しました。
 
オーストリア最西端の州フォアアールベルクでは、スパイシーで香り豊かで美味しい山のチーズ「ベルクケーゼ」が生産されています。このチーズの原産は、早くも石器時代から牛乳の栄養価の高さが知られていたオーストリアの中東部地方です。その作り方が西部オーストリアの高山で進化発展したのには、実に理にかなった訳がありました。まず一つには、新鮮な牛乳が簡単に、しかも安価で入手できること。そして、ハード・チーズは長期保存できるため、標高が高い荒涼としたアルプスの山岳地方で生き抜くためには、最適な食糧だったのです。現在では、アルプスの牧草地のさまざまな香草やハーブを入れた、いろいろな種類のチーズが楽しめます。

オーストリア料理
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