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アウスゼーの木版手染めプリント

アウスゼーランドは、ザルツカンマーグート地方の中心にあります。ここには、美しい湖、緑豊かな牧草地、ダイナミックな山塊など、様々な地形が調和した、多彩な風景が広がっています。そして、文字通り絵のように美しい風景が、アウスゼーの民俗衣装の色彩に反映されています。

 © Eder
Foto: Eder
 

Bad Aussee

 
 

アウスゼーを有名にしたのは、実はスキャンダルでした。1829年、皇帝の息子が郵便局長の娘と恋に落ち、周囲の反対を押し切り、彼女と結婚したのです。彼は妻との連帯を表す行為として、彼女が着ていた「ゲヴァント」というこの地方の伝統衣装を身に着けました。彼の志に感動した貴族階級や上流階級の人々に導かれ、オーストリアのすべての人々は、バート・アウスゼー、アルトアウスゼーやグルンドルゼーがある、シュタイヤマルク州の片隅にひっそりと隠れたこの地の存在を知り惚れ込みました。伝統的な皇族の流行に倣い、ここで長期休暇を楽しむ一般の人々も、心から避暑気分を味わうために、伝統衣装を好んで身に着けました。

民俗衣装は、何よりもまず、日常的なものです。

民俗衣装は、その地方を象徴するものです。何世紀にも渡りアウスゼー地方の衣裳は、山の生活に最適で、平日の仕事着としても、毎日着る服としても、とても向いていました。この地方の衣裳は、ちょうど今日のジーンズやビジネス・スーツのように、現在も、毎日着る一般的な衣服として残っています。平日も、祝祭日も、男女を問わず、この服を着ています。地方の伝統衣装は結婚式や、お祭りの日や、ウィーンの上流階級の「イェガーボール」(狩猟家の舞踏会)などではよく着用されますが、オーストリアの基準と比べても他に例のないほど、アウスゼーでは民族衣装の着用は一般的な習慣です。

また、アウスゼー地方の衣裳は、着る人の個性を魅力溢れる形で表現できるのも事実です。男性は、夏には丈の短い、冬には丈の長いレーダーホーゼンを履いて、背中に動きが楽なように幅の広いプリーツが入った丈の長いジャケットを着、その上にゆったりとしたケープを羽織ります。ジャケットも、ケープも水を弾く、分厚く丈夫なウール生地、ローデンで作られています。これに、手編みのソックスと頑丈なブーツを履き、ネクタイを締めて、帽子をかぶると、伝統的なアウスゼー地方の紳士の衣装の着こなしは完成です。一方女性は、プリーツ・スカートと袖の短い白のブラウスに、スカーと一体となったウェストにピッタリとフィットするボディスから構成された、ディアンドルという衣装を着ます。衣装を着る場面、あるいは、職業によって、前掛けを着けたり、より上等なブラウスを着用したりすることもあります。ディアンドルは、アンダーウェアとアウターウェアの境を不鮮明にし、ワイド・スカートとタイトな胴着が女性らしい体の曲線を強調してくれます。このように、女性の解放と女性らしい優美さをもたらし、すべての女性を美しく見せてくれるディアンドルが、女性社会に受け入れられたのは当然のことでした。

色彩豊かな、この地方独特の衣装

民族衣装を着たいと、人の心を惹きつけているものは、見栄えするそのデザインはもちろんですが、何と言ってもそのユニークな色彩でしょう。独特で凝った色と模様を巧みにブレンドすることにより、楽しく、調和のとれた、力強い衣装となっています。例えば、明るい背景に花柄を配したスカートに、対照的な色のボディスを合わせ、その上に少なくとも別の一色または柄を配したエプロンを着けて、衣装全体を魅力的に引き立てる、といった着こなし方をします。これらの色合いは、女性らしい白のブラウスで引き締められますが、カラフルなショールによって活き活きとした感じが強調されています。男子の衣装もまた、ビンドル(現代のネクタイの起源となった、伝統的なクラバット)、明るい色で装飾されたホーゼンクラクセン(ズボンつり)と、色鮮やかなチョッキを着用して、女性の衣装に劣らず、とても色彩豊かです。

アウスゼーの木版手染めプリントは、薄い織物に独特の素晴らしい輝きを与えています。この手染め方は、無限の創造性を秘めています。ウールや、麻や、絹の布地を染色する時に使用される木版は、すべて他に類のない貴重なもので、工房にとってとても大切な財産です。マルティナ・ライシャワーは、文様が刻まれたこれらの古い木版を、重い槌に気持ちを込めて、トントンとたたいてプリントしていきます。この仕事について彼女は、「この作業は、まったく女性らしくありませんわね…」と笑います。

力強く成長する、木版手染めプリント

木版手染めプリントの技法は、1930年にアウスゼー地方の民俗衣装の最大のコレクターの未亡人、アンナ・マウトナーが、味気ない大量生産品から地方の伝統的な衣装の品質を保護するためにこの地に伝えたものでした。このウィーンの上流階級出身の淑女は、古い文様木版を多数集めてコレクションを増やし、木版プリントの職人に刷りの技術を教えてくれるように頼みました。自身の芸術的才能を発揮した彼女は、新しい化学染料のお陰もあり、すぐに藍染から多色染めへと技術を発展させることができました。彼女の作る服や生地は、民族衣装に完璧なまでに適合したために、アウスゼー地方だけではなく、マウトナー婦人が所属する上流社会の間でも、すぐに称賛されました。

やがて、マルティナ・ライシャワーがアンナ・マウトナーからビジネスを引き継ぎ、伝統的な店舗マウトナードゥルッケを経営しています。彼女は初期に集めた木版だけではなく、マウトナー婦人のコレクションも所有しています。彼女の顧客の創意から得られるものと同様に、これらの木版は、彼女の実験的な創作に限りないインスピレーションを与えてくれます。元となる生地の色と、それに手染めプリントする文様をそれぞれ選ぶことによって、顧客は独自のユニークな「ディアンドル」を制作することができます。しかし、顧客を喜ばせるのは、通常はやはりマルティナ・ライシャワー自身が思いついた、独創的なアイディアによって作り出された作品です。彼女の衝動的な創造性が、自身のコレクション創作をもたらしました。皮革製の生地とローデン生地はどちらもプリントでき、エレガントなジャケットやスカートに仕立てることが可能です。それらの服に合わせた、アウスゼーの文様をあしらった手袋とパシュミナ(伝統的な女性用ショール)を身に着ければ完璧な装いが完成します。顧客は特に上質のシルクで作られたエプロンや、ショール、ベストを高く評価しています。マウトナー・シルクの特徴は、鮮やかな色彩と、その独特の柔らかい風合いにあります。それは、現在競争相手が多くなったマウトナードゥルッケが企業秘密にしている、特別な仕上げ技術と色止め方から生み出されるものです。

バート・アウスゼーの木版手染め業界には、マウトナー工房に加え、新たにヴァッハ、セキラ、エーダーの3つの工房が参入しました。それらの工房には、それぞれ特徴があります。セップ・ヴァッハは、伝統に最も傾注しています。セキラ工房のマルクス・ヴァッハは、アルプスのモチーフに現代的なデザインとパステルカラーを融合しています。クリスティアーネ・エーダーは、慣例的でないものと伝統的なものとの相互作用によって人々を驚かせ、「私のデザインは、尖ったもの目指しています」と彼女は言っています。これらの新しい工房の作品に対して、マルティナ・ライシャワーが率いるマウトナーのプリント生地は、そのクラシックなエレガンスと鮮やかな色彩で、人々を魅了し続けています。

役立つリンク

アウスゼーの木版手染めプリント工房
アウスゼーの木版手染めの芸術家たちの魅惑的な世界に浸ってください。
生涯の宝となる一点ものを、多くの賞を獲得している芸術家たちに発注してみませんか!

1930年創業、マウトナードゥルッケ
工房と店舗
www.mautnerdrucke.at

シルク手染めプリント工房 セップ・ヴァッハ
www.handdrucke-seppwach.at

木版手染め工房 セキラ
www.handdrucke.at

クリスティアーネ・エーダー
Bahnhofstraße 241
8990 Bad Aussee

民族衣装舞踏会
民族衣装の熱烈な愛好者は、「レーダーホーゼン(革製の半ズボン)が、発明されて以来の奇抜な舞踏会」と言われている集まりに招待されます。この特別な催事は、ウィーンの市庁舎で行われます。タキシードやスパンコールで煌めく夜会服は、家に置いて来てください。何故なら、この夜の必須の服装規定は、民族衣装なのですから。
完全な伝統的衣装で出席しないと、中には入れてもらえませんのでご注意を!
開催予定:2012年9月
www.trachtenpaerchenball.at

レーナ・ホシェック
国際的に知られたオーストリアのデザイナー、レーナ・ホシェックは、ファッショッンに造詣が深く、彼女のエキセントリックなコレクションについて、彼女が熱く語り始めると止まりません。男性用と女性用の素晴らしい服やアクセサリーと共に、彼女は民族衣装のコレクションもデザインしています。
www.lenahoschek.at

トストマン民族衣装
マーレンとヨーヘン・トストマン夫妻は、この会社を60年以上前にアッターゼー湖畔のゼーヴァルヒェンに創立しました。トストマンのディアンドル(女性用民族衣装)は、現在もすべて、オーストリアの自社工房内で作られています。
www.tostmann.at

モートヴルフ・オーストリア・クチュール
モートヴルフの服のルーツが、伝統的な民族衣装に深く根差していることは否定できません。しかし、それらの衣服の起源は、繰り返し引用されてきた保守的なデザインものではありません。モートヴルフのデザインは、世界の片隅から発信された、他に類のない独特の、現代のファッションと文化の分野へ進出する、常に新しい服の出発点なのです。
www.mothwurf.com

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