
近代的アプローチ
美術史おける世紀末最大の統一された様式運動による影響を、ウィーンのように現在も色濃く残している都市は、ほんの一握りしかありません。オットー・ワーグナー、ヨーゼフ・ホフマン、ヨーゼフ・マリア・オルブリッヒ、アドルフ・ロースらが設計した建物を、街のそこここで見ることがでます。シュタインホーフにある教会、郵便貯金会館、セセッシオン会館(分離派会館)などの建物はすべて、様式運動が目指した芸術統合の影響が見られます。
ユーゲントシュティールは、工業施設や高架鉄道システム、別荘、教会から、バーやコーヒーハウスのインテリア・デザインに至るまで、ありとあらゆる建築と芸術の形式を網羅しています。総合的な「生活スタイルの変革運動」として、日常生活のすべての側面に浸透し、高級芸術と低級芸術の境界、および、フリーアートと美術工芸の垣根を打ち破りました。このようにして、ユーゲントシュティールは新生モダニズムのための重要な推進力となったのです。
ウィーン分離派
分離派として知られていた芸術家組合の会長グスタフ・クリムトは、ユーゲントシュティール運動の正に中心を担っていました。普段は寡黙でしたが、彼はこの組織の演説者であり、精力的な主催者であり、将来を嘱望された才能を持った若き芸術家たちの後援者でした。
また、クリムトは誰もが認めるこの運動全体の象徴である、1907年から1908年にかけて制作された世界的に有名な「接吻」を含むユーゲントシュティール運動の重要な作品の創作者でした。際立って質の高い特徴をもったウィーンのユーゲントシュティールは、芸術的な伝統に深く根差していると同時に、他のヨーロッパの関連した運動のように、自身の制作にヨーロッパ以外の芸術の要素を果敢に取り入れていきました。クリムトにおいては、アジアの芸術に多大な影響を受け、また、ラヴェンナのモザイクの発見によって得た新たな刺激を、自分たちの芸術運動に取り入れていきました。彼の絵画では、色とフォルムと線の要素のそれぞれを、具象描写の物語から解き放ち、それ自体を象徴と抽象に発展させました。すなわち、グスタフ・クリムトの制作作品は、モダニズム抽象画の重要な先駆を代表するものです。
シュタインホーフ教会 (サンクト・レオポルド教会)
郵便貯金会館
1区、ゲオルク・コッホプラッツ、ウィーン
郵便貯金会館は、銀行の通常営業時間内に銀行利用者と観光客に開放されています。
セセッシオン会館(分離派会館)
1区、フリードリッヒシュトラーセ 12、ウィーン
開館時間:火曜日から日曜日の午前10時から午後6時