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    ウィーンの森

    ウィーンの北西から南にかけ、広大な丘陵地帯を占めるウィーンの森は、その中にブドウ畑やワイン造りの村々をまじえて、緑美しい別天地をなしています。やさしく広がる丘陵、清らかな小川のせせらぎ、ひっそりと佇む教会や家々...。

    そうした美しい風景は、今までに幾度となく歌や物語に語り継がれてきました。なかでも、中心街から最も近いカーレンベルク、ベートーヴェンゆかりのハイリゲンシュタット、悲劇の舞台マイヤーリング、温泉地バーデン・バイ・ウィーンなど、ウィーンの森の南西部には古い歴史を持つ教会やハプスブルク家のゆかりの舞台が点在しています。

    ウィーンの森 北部―― カーレンベルク Kahlenberg
    ウィーンの森の東北端、ドナウ河とウィーン市街を見下ろすように盛り上がっている海抜484mの山です。展望テラスやレストランがあります。さらに東へ、 レオポルツベルクまで散歩すれば(約30分)、ドナウ川が眼下に眺められます。またカーレンベルクに戻り、市内に戻ってもよいし、時間がある場合は、ヘルマンスコーゲルやハイリゲンシュタットへ足をのばしてもよいでしょう。(ハイキングマップは市内の市庁舎内のインフォメーションでも入手できます)
    市電とバスカーレンベルクへはウィーン市内から市電38番で、終点のグリンツィングへ(25分)。そこで市バス38Aに乗り換え、終点(20分)です。

    ハイリゲンシュタット Heiligenstadt
    カーレンベルクからハイリゲンシュタットへ行く場合、東南方に向かい、森とブドウ畑を抜けて歩いて降りることもできます。ハイリゲンシュタットに入る少し 手前、林の中のベートーヴェン・ルーエにベートーヴェンの像があり、ここから、ベートーヴェンが田園交響曲の楽想を得たと伝えられる小川のほとりの小道 「ベートーヴェンガング」が始まります。
    エロイカガッセ通りと交差するところで右に曲がってしばらく行くとプファールプラッツ広場に出ます。広場の教会手前にはベートーヴェンが部屋を借りていた 家があり、今はホイリゲになっています。その前から、プロブスガッセという通りに入ると、ベートーヴェンが悲痛な遺書を書いたことで知られる家があり、今 はベートーヴェン記念館になっています。
    この他、この地区にはカーレンベルガー通りやグリンツィンガー通りにもベートーヴェンハウスがあります。

    市電とバス:ハイリゲンシュタットへは市内から市電Dで(25分)終点下車。「遺書の家」へは市内から市電37で(20分)終点のホーエ・ヴァルテ下車か、地下鉄ハイリゲンシュタット駅からバス37Aか38Aで4つ目のアルムブルスターガッセ下車。
    *市バス38Aは、ハイリゲンシュタットとカーレンベルクの間を走っています(30分)。グリンツィングはその途中です。

    ウィーンの森 南部――この地域を回るには、車あるいはウィーン発着のウィーンの森半日観光バスがおすすめ

    マイヤーリンク Mayerling
    1989年に、ハプスブルク家のルドルフ皇太子と男爵令嬢マリア・ヴェッツェラが心中した皇太子の狩りの館が、今は修道院となっています。

    ハイリゲンクロイツ Heiligenkreuz
    オーストリア最古の、1133年に設立したシトー派の修道院があります。キリストの磔刑に用いられた十字架の聖遺物が保管されているところから、ハイリゲンクロイツと呼ばれるようになりました。列柱の美しい回廊は1220〜50年頃、ステンドグラスは1300年頃のものです。

    ヒンターブリュール Hinterbruehl
    6200平方メートルのヨーロッパ最大の地底湖ゼーグロッテがあり、船で観光できます。1848年から60年余りここで石膏が採掘されていましたが、1912年に洪水が起こり今のような地底湖ができました。
    この他、この町にはシューベルトが「菩提樹」などを作曲したという通説のある、ガストホーフ・ヘルドリッヒスミューレ(以前ここに水車小屋があった)があ り、裏側を流れる小川のせせらぎと小鳥のさえずりが、1世紀を超えた今日も変わらず、散策する人々の心を和ませてくれます。

    鉄道とバス:ウィーン南駅よりメードリングまで25分。メードリングからヒンターブリュール(ヘルドリックスミューレ)まで20分。ハイリゲンクロイツへ はバーデンから30分。同路線でマイヤーリングへはそこから更に10分。
    車:ウィーン〜バーデン〜ヘレーネンタール〜マイヤーリンク〜ハイリゲンクロイツ〜ヒンターブリュール〜ウィーンと観光し、約80km。

    バーデン Baden
    ウィーンの森の東南端に接している古くからの温泉保養地。15世紀中頃に、皇帝フリードリッヒ3世から都市権を与えられました。ハプスブルク家の帝国華やかなりし頃は多数の王侯貴族が集まり、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどもよく滞在しました。
    鉄道:ウィーン南駅から、急行でも各駅停車でも約20分です。急行はバーデンに停車しないことがありますからよくご確認ください。
    路面電車(Badnerbahn):ウィーンの国立オペラ座前から、バーデン市の中心にあるヨーゼフスプラッツ広場まで1時間強。
    バ ス:国立オペラ座から上記ヨーゼフスプラッツ広場まで約40分。このバーデン行バスはさらに市内のカジノや温泉プールまで路線がのびています。
    車:ウィーンの都心から約30キロ。

    バーデン市内の見所
    路面電車とバスが発着しているヨーゼフスプラッツ広場から少し北へ入ると、町の中心地ハウプトプラッツ広場で、ペスト記念柱が立っています。ここから少し西に入ったラートハウスガッセ通りにベートーヴェン記念館があります。
    ベートーヴェンは1804年から1825年まで、ほとんど毎年バーデンを訪れましたが、特に1821年から23年までは、小さなパン屋だったこの家の2階を借りて住み、第9交響曲や荘厳ミサ曲を作曲しました。
    町の北側には広大なクアパークがあり、植え込みや花壇が見事です。ヨハン・シュトラウスとヨーゼフ・ランナーの記念像もあります。公園の正面にある豪華な建築は、オーストリア一番の規模を誇るカジノで。夏にはオペレッタ週間が開かれます。

    温 泉
    バーデンとは温泉という意味で、ローマ時代から知られています。38度あまりの弱硫黄泉が豊富に湧出しています。現在では保健、美容(フィットネス)、屋内ならびに屋外温泉プールという3つの目的に使われています。屋内は通年オープン(月曜休み)。
    屋外温泉プールは町を流れるシェヴェッヒャート川沿いにあり、温泉王国といわれる日本でも例をみないほで広大なもので、さまざまの設備が付属しています。 営業は5月初めから9月末日まで。温度の低い方と高い方にわかれていますが。高い方でも日本人の感覚からすると「ほんのり温かい水」というような感じです。

    バーデン観光局サイト

    ベートーヴェンの散歩道 Beethovengang
    バーデンの近くには長短いくつものすばらしい散策コースがあり、上記の観光局でカラー地図入りの案内パンフレットを入手できます。道標が完備しているため、初めての場合でも道に迷う恐れはありません。
    なかでもよく知られているのが「ベートーヴェンの散歩道」で、国鉄バーデン駅からメードリング駅まで全長13キロ。もし長すぎるようなら、ちょうど真ん中 あたりのワインの名産地グンポルツキルヘン Gumpoldskirchen の村へ降りて、ホイリゲ(自家製の新酒を飲ませる農家風の酒場レストラン)で休憩後、バスでメードリン Moedling まで、約30分。

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