モーツァルトハウス・ヴィエナで出会う、人間ヴォルフガング
ウィーンにおけるモーツァルトのハイライト

天才音楽家モーツァルト。没後270年ほど経った今でも、彼の曲は私たちの日常に寄り添ってくれています。ウィーンにはモーツァルトが暮らしていたアパートが残っており、その人柄や生活に触れられる博物館「モーツァルトハウス・ヴィエナ」として世界中の音楽ファンが訪れる観光名所となっています。

モーツァルトが愛した街、ウィーンでモーツァルトの世界に触れる旅へ

ザルツブルクに生まれたヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、25歳のときにウィーンへ移り住み、人生最後の10年間をこの地で過ごしました。その間、ウィーンは彼の創作活動の中心となり、数々の名作がここで生まれました。

今日のウィーンには、モーツァルトの生涯と遺産をたどる数多くの方法があります。創作の最盛期を過ごした「モーツァルトハウス・ヴィエナ(Mozarthaus Vienna)」では、彼の音楽、人生、そして今なお続く影響を、臨場感あふれる展示で体感することができます。

「モーツァルトハウス・ヴィエナ」は、モーツァルトが28歳だった1784年9月29日から1787年4月23日まで2年半の間、一家で実際に暮らしていた唯一現存するアパートです。引っ越しの多かったモーツァルトがウィーンで9番目に住んだ家とされ、傑作『フィガロの結婚』を作曲した場所としても知られています。

この場所に住んでいた2年半の間は、シュテファン大聖堂の副楽長を務め、ハイドン・セットの献呈で高評価を受け、オペラ『フィガロの結婚』を成功させるなど、モーツァルトのキャリアの絶頂期であり、もっとも羽振りのよい時期でもありました。ウィーンの要であるシュテファン大聖堂から徒歩数分という立地は、昔も今もウィーンの超一等地。成功者が住むにふさわしい場所だったといえます。

モーツァルト一家は建物の1階(日本の2階)に暮らしていました。この時代、建物の中でもっとも人気と家賃の高いフロアは1階で、「ベル・エタージュ(Beletage=素敵な階)」と呼ばれていました。博物館となった今では、モーツァルトが暮らしていなかった上層階も展示室として使い、モーツァルトの生活環境や音楽的背景を解説しています。

世界中で今も愛されるモーツァルトを身近に感じる資料が多数展示されている「モーツァルトハウス・ヴィエナ」で、人間ヴォルフガングに迫ってみましょう。

モーツァルトハウス・ヴィエナの基本情報
所在地:ドームガッセ 5、ウィーン一区 (Domgasse 5, 1010 Wien)
アクセス:地下鉄 U1, U3 、またはバス 1A, 2A, 3A でシュテファンプラツッツ駅より徒歩数分
開館時間:毎日10時~18時
博物館の設立:モーツァルト生誕250周年の2006年

モーツァルトハウス・ヴィエナを一言でいうと

  • 重要な意味を持つ家:ウィーンで唯一現存するモーツァルトのアパートで、"フィガロの結婚 "などの代表作を作曲しました。

  • モーツァルトのアパートメントを見学し、その足跡をたどることができます。

  • 個人的な視点からモーツァルトを知り、18世紀ウィーンの社会生活について学ぶことができます。

  • モーツァルトの創作活動や代表的な作品について知ることができます。

モーツァルトの最も大きく、最もエレガントで、最も高価なアパート

旧市街のシュテファン大聖堂のすぐ近く、石畳の裏道に、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの人生において最も重要な場所のひとつとなった歴史的なアパートが建っています。1784年から1787年まで、モーツァルトとその家族はこのアパートで暮らし、その間に最高傑作の数々を生み出しました。モーツァルトはウィーンでの10年間に13回引っ越しをしており、ドームガッセ5番地の建物は、ウィーンの13の住居の中で唯一残っているものです。

177㎡のアパートは、4つの大きな部屋と2つの小さな部屋、そしてキッチンで構成されており、モーツァルトが住んだアパートの中で最も大きく、最も優雅で、最も高価なものでした。一部の部屋には、オリジナルのスタッコ天井や壁画があり、モーツァルトの時代にこのアパートがどのように装飾されていたかが描かれています。モーツァルトとその家族の足跡をたどり、作曲家の人生と時代を包括的に探索してみてください。

モーツァルトの生活と音楽的功績を知る

博物館の3つのフロアは、偉大な作曲家がウィーンで過ごした時代に焦点をあてています。18世紀のウィーン社会における彼の生活や、演奏を行った場所、その時代の文化的背景に迫ります。交友関係やライバルとの関係、さらには女性関係やギャンブル、浪費癖といった一面にも触れ、より人間らしいモーツァルト像を知ることができます。

彼はわずか35歳でこの世を去るまでに626の作品を残しました。その多くが、現在のモーツァルトハウス・ウィーンの部屋で作曲されたもので、世界的に有名なオペラ《フィガロの結婚》や6曲あるハイドン四重奏曲のうち3曲もここで生まれました。中でも見逃せないのが、1790年頃に作られたオルゴール時計。モーツァルトの《アンダンテ K.616》が奏でられます。

また館内では、ホログラムによる《魔笛》のパフォーマンスや、世界各国の演出を紹介する「フィガロ・パラレロ」のメディア展示、さらに《レクイエム》とウィーンでの生涯の終わりも、この博物館の充実した展示の中で扱われています。

モーツァルトハウスをもっと楽しむ

地下にはベーゼンドルフーのピアノが設置されたコンサートホールがあり、定期的にコンサートが開催されます。モーツァルトが住んでいた建物で聴く音楽は、まさに特別な体験です。スケジュールはウェブサイト、またはミュージアムのチケット売り場でご確認ください。

また、日本語のオーディオガイドもあり、入場料に含まれています。

グループ用には、博物館のガイドツアーと一緒に行われる特別な1時間30分のワークショップが予約でき、マジパンとヌガーを入れる「モーツァルトクーゲル」チョコレートを自分で作ることができます。

帰りにはミュージアムショップにも立ち寄ってみてください。モーツァルトハウス・ヴィエナのオリジナル商品やモーツァルトに関する書籍・CD・DVD、お菓子、雑貨など、ウィーン土産にぴったりなアイテムが揃います。

モーツァルトといっしょにセルフィーを

モーツァルトハウス・ヴィエナの新しいインタラクティブなインスタレーションが博物館の前に登場しました。このインスタレーションは、各自が自由に利用でき、デジタル技術とアナログの仕組みにより、モーツァルトのさまざまな顔を楽しく体験させてくれます。回転する円筒の中で、科学的に確認された4つの肖像画が組み合わさり、モーツァルトのイメージを新たに表現しています。ミュージアムに入館する前や帰りに、モーツァルトといっしょに自撮りしてみませんか。

モーツァルトハウス・ヴィエナから10分ほど歩くと音楽の家(ハウス・デア・ムジーク)があります。科学的なレベルで音楽について学ぶことができる、新しいアプローチを提案している音と音楽のミュージアムです。4つのフロアに渡って、魅惑的な音楽と音の世界を紹介。「音の階段」を探索したり、モーツァルトの音楽ゲーム「ナマデウス」をプレイしてみたり、バーチャルでウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したりと、遊び心も満載です。音楽の家は、単に音楽を探究するだけではなく、 モーツァルトのような伝説的な作曲家の人生を含む、ウィーンの豊かなクラシック音楽の遺産を称える場所です。

モーツァルトハウス・ヴィエナ Mozarthaus Vienna

Domgasse 5

1010 Vienna

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