オーストリア国立図書館のプルンクザール
国立図書館のプルンクザール(豪華なホール)は、世界で最も美しい図書館の一つです。
ホーフブルク王宮は街の中にある小さな世界です。そこには壮麗な宮殿と静かな中庭があり、数多くの歴史上の秘話を物語っています。
何世紀にもわたって、ここはハプスブルク家の権力の中心でした。帝国の貴重な財宝が保管されており、皇帝の居室や宝物館で鑑賞することができます。しかし、ホーフブルクは単なる過去のものではありません。静かな庭園、それぞれ趣のある博物館、活気あふれる教育施設に囲まれ、現在でも国の政治の中心地です。そして、ウィーンの人々のほとんどが知らないことですが、ホーフブルク王宮は世界最大の使用可能面積を持つ宮殿なのです。
13世紀以降ホーフブルク王宮は政治の場で、ハプスブルク家はここから世界帝国を支配しました。一度も敵に征服されたことはなく、旧王宮からスイス宮へ、そして現在もオーストリア連邦大統領が住んでいるレオポルド宮へと、王宮内で権力の中枢は幾度も変遷していきました。
ホーフブルク王宮の芸術と知識
新王宮(ノイエ・ブルク)のミュージアムを巡り、ハプスブルク家の歴史をたどるツアーが、2023年12月にお目見えしました。
<ハウス・オブ・ハプスブルク (House of Habsburg)>ツアーでは、日本語の音声ガイドを聴きながら、ハプスブルク帝国末期の統治・居住の拠点であった新王宮を見学します。19世紀初頭に完成した新王宮には現在、複数の博物館と国立図書館の一部が設けられていますが、ツアーではこのうち宮廷狩猟・武器庫と古楽器コレクション、および皇妃エリザベートのためにあつらえたものの1898年に暗殺されたために使われなかった部屋や廊下を巡ります。
斜陽の大帝国の最後の輝きのような新王宮の建築美。中世後期に興ったハプスブルク家の始祖から、19世紀末のフランツ・ヨーゼフ1世とエリザベートに至る皇族たち。モーツァルトが演奏したフォルテピアノやヨーゼフ・ハイドンの精巧な蝋人形。歴史の証人であるさまざまな展示物が、ハプスブルク家の650年におよぶ勝利と悲劇の物語へといざないます。
新しい<ハウス・オブ・ハプスブルク>ツアーで、ハプスブルク家の歴史や知られざる側面に触れてみてください。
料金:
大人:23ユーロ
25才未満の学生および65才以上:19ユーロ
ウィーン新王宮
Heldenplatz, A-1010 Wien
www.houseofhabsburg.at
オーストリア国立図書館の心臓部ともいえるのが、この豪華なホールです。18世紀初頭、世界最大の私設図書館を所有していたサヴォイのプリンツ・オイゲン公にまでさかのぼります。オイゲン公の1万5千冊の蔵書は、現在もプルンクザールの丸天井の下で鑑賞できます。装丁は厳密な色分け方法に従っています。赤は歴史と文学、青は神学と司法、黄色は自然科学です。
1736年にオイゲン公が亡くなった後、皇帝カール6世がこの貴重なコレクションをホーフブルク王宮へ移しました。別の20万冊の蔵書とともに、奥行き80m、高さ20mのおそらくウィーンで最も美しいバロック様式のホールに収められた、知識の集大成です。
2018年にオープンしたオーストリア歴史館では、ハプスブルク帝国の崩壊から共和国に至るまで、オーストリアの過去100年間の推移が紹介されています。ナチスによる独裁という不幸な時代を経て、第二次世界大戦後の民主主義の復活まで、激動の歴史をインターラクティブなオーディオ/ビデオステーションでは、オーストリア人の自己発見とその文化史を分析しています。
歴史の記憶が失われないようにするために、多数の貴重なコレクションが何よりも大きな役割を果たしています。ドナウ君主国の滅びた双頭の鷲から、2014年の「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」でコンチータ・ヴルストが優勝した時のドレスまで、展示は多岐にわたります。印象的なのは、自らを繰り返し再発見している国の様子で、常設展「1918年以降のオーストリアの新時代」で知ることができます。
王宮では、皇妃エリザベートのヘアブラシ、フランツ・ヨーゼフ皇帝の万年筆など、ハプスブルク家の私生活を垣間見ることができます。しかし、同時に、笏から帝冠、聖槍に至るまで、帝国記章の華麗な宝物も見学することができます。私物から貴重な宝物まで、居室と皇帝宝物館で体験してください。
皇帝の居室では、フランツ・ヨーゼフやシシィのプライベートな生活ぶりを垣間見ることができます。階段や控えの間は皇帝の謁見の間に通じており、皇帝はここで長い生涯の間に26万人以上もの臣下を迎えました。すぐ近くには皇帝の簡素な書斎があり、朝5時にはすでに書類に目を通していたといわれます。しかし、皇帝フランツ・ヨーゼフ一世は、冷静な統治者であるばかりでなく、愛情深い夫でもありました。仕事机から目を上げると、いつも愛するシシィの肖像画を眺めることができました。一方シシィは、トレーニングルームと化粧室で過ごすのが好きでした。体操用のバーでトレーニングをしていないときは、何時間もかけて髪を整えることが決まりでした。
ヨーロッパの歴史1,000年の、他に類を見ないコレクションが収められています。神聖ローマ帝国の帝冠やルドルフ2世のハプスブルク家の王冠など、権力を象徴する華麗な記章は、当時の見事な金細工術を示しています。宝物館には、歴史を物語る謎めいた物も数多く収められています。聖槍の中心のピンは、キリストを十字架にはりつけにするために使用された釘のうちの1本と見なされています。また、巨大なイッカクの牙は、ユニコーンの角と考えられていました。古代後期の瑪瑙(めのう)の鉢にも神話的な意味があると認められており、長い間、それは伝説の聖杯であると考えられていました。
また、君主たちの豪華な衣装にも驚くべき秘密が隠されています。ハプスブルク家の戴冠式マントがシチリア島のノルマン人の工房で作られ、アラブの織物職人がライオンやラクダだけでなく、謎のアラビア文字を縫い付けていたとは、誰が想像できるでしょう。
リピッツァーナー種は生まれたときは黒毛で、成長すると白馬になる由緒ある美しい馬で、今やオーストリアのアイデンティティを象徴する馬です。シュタールブルク(帝国厩舎)は古典馬術を保存するための最も重要な場所の一つです。ここでは有名な白馬を鑑賞できるさまざまな方法があります。
バロック様式の「冬の乗馬学校」での公演では、カプリオーレからルヴァードまで、古典的な高等馬術の傑作が上演されます。さらに特定の日には、世界的に有名なウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン少年合唱団の響きを一緒に楽しむこともできます。また、おそらく世界で最も美しい乗馬ホールで行われる、若い雄馬の朝の調教も一見の価値があります。あるいは、430年にわたる宮廷乗馬文化に関する展示があるリピッツァーナー博物館を訪れるのも良いでしょう。そして夏には、白馬たちの「自由な時間」をじっくりと観察することもできます。その時間には、雌馬と仔馬が王宮庭園でのんびりと草を食んでいるでしょう。