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    スペイン式宮廷馬術学校

    ウィーンのスペイン式宮廷馬術学校の古典的な高等馬術の伝統は、450年に渡って代々口伝で伝えられてきました。

    スペイン式宮廷馬術学校は世界で唯一、古典馬術を今日に伝えています。この高等馬術は、ルネサンス文化とともにウィーンにもたらされました。この古典馬術と宮廷馬術学校はオーストリアのユネスコ無形文化遺産に登録されています。
    皇帝フェルディナント1世の息子マクシミリアン大公は、1562年頃からスペイン馬の優れた品種をオーストリアに取り入れ、気性の激しい馬たちを調教するため、1572年には木材による「スペイン馬場」が建てられました。1729年皇帝カール6世は、建築家ヨーゼフ=エマヌエル・フィッシャー・フォン・エルラッハに「冬の乗馬学校」の建設を委嘱、こうして厩宮の向かい側に豪華な乗馬ホールが建設され、1735年にオープンしました。 同年カール6世は、以降スペイン式宮廷馬術学校で調教される品種について、1580年リピッツァ(現スロヴェニア)に設立された養馬場の馬、つまり名高いリピッツァ馬のみと定めました。

    今日、オーストリアのリピッツァーナー馬の故郷はシュタイヤマルク州のピーバーです。ここで次々とリピッツァ馬が生まれ、バロックが生み出した芸術的品種の存続を保障しています。リピッツァーナー馬の400年以上に渡り培ってきた飼育技術は、オーストリアの無形文化遺産です。

    ルヴァード、クールベッ、カプリオーレ・・・これは、ウィーンのスペイン式馬術学校でリピッツァーナー種の白馬が披露する、古典馬術の跳躍演技の名称です。人々を魅了する古典的な高等馬術の伝統は、450年以上に渡って代々口伝で伝えられてきました。これらの賢い白馬たちは、厳しい訓練期間を完了すると、「教授」と呼ばれるようになります。

    スペインにその起源を持つ世界的に有名なこれらの白馬は、ホーフブルク王宮の馬場で訓練を受けます。午前中の調教では、馬たちは旗手と共に振り付けられた高度なステップをしっかりと練習し、夜に行われるガラ公演では、それらの演技が観客の前で完璧に披露されます。リピッツァーナーは、昔は中央ヨーロッパのどの皇室の厩舎でも飼育され、パレード用の馬として、あるいは、一騎打ちの馬上槍試合や軍事用の馬として利用されてきました。しかし、現在ではウィーンのスペイン式馬術学校だけが、ルネッサンス時代に集大成された最高の古典馬術の伝統を守り、リピッツァーナーの白馬の馬術を伝える世界唯一の施設となっています。 リピッツァーナーはシュタイヤマルク州にあるピーバー飼育場で繁殖され、最も跳躍能力が高く、スタミナのある若い雄馬の中から、馬術学校の訓練を受ける馬が厳選されます。選ばれた馬たちは、初めにそれぞれの馬の性格と態度を十分に考慮した、馬の福利を基礎とした指導方針に従った馬術訓練を、ウィーンの馬術学校で4年間受けます。ガラ公演では、馬たちは牧草地で自然に行っているような動作、例えば、様々な歩き方、ステップの変化や跳躍を実演しますが、それをとても洗練された完成した美しいフォルムで見せてくれるのです。馬たちの動きは、特別な筋肉強化のトレーニングを通して、馬術学校の水準に沿った美しい姿へと進化していきます。馬は約6年の訓練期間で完璧に調教出来ますが、旗手はみっちり10年から12年の訓練を要します。馬術学校の実習生は、最初の4年から5年間、とりわけ鞍上での正しい姿勢を、「教授」と呼ばれる訓練期間を終えた賢い馬に乗って練習します。2008年には、スペイン式馬術学校の歴史始まって以来、初めて女性の騎手が認められました。現在、英国人とオーストリア人の女性騎手が訓練を受けています。 ガラ公演では、ピルエ、パサージュ、ピアフなど馬術の中でも極めて難度の高い技を、オーストリアのクラシック音楽に合わせて見事に披露する、美しい白馬たちの素晴らしい演技が堪能できます。パ・ドュ・ドュという2頭の馬による、まるで鏡に映った像を見ているようなシンクロ演技の後に行われるガラ公演のハイライトは、ウィーン会議時代の歴史的なダンス音楽に合わせて振りつけられたカドリーユ(4頭の馬によるダンス)です。白馬たちが華麗に舞うこの美しいバレエ演技は、非常に高い集中力が要求されます。 目にするものすべてが印象的なこの公演では、1729年から1735年にかけて建設された豪華な乗馬ホール、伝統的な格式ある制服、全くのボディ・ランゲージだけで通じあう旗手と白馬との完璧な信頼関係など、ショーのためだけに演出されたものなど一つもありません。これは、馬と騎手との一体感が見る者に感動を与える、非の打ちどころのない生きた芸術です。

    ガラ公演

    この公演のプログラムでは、スペイン式馬術の様々なステップや高度な跳躍技が、オーストリアのクラッシック音楽に合わせて演じられます。乗馬と馬の指揮はすべて手綱で行われます。ハイライトは、カドリーユという4頭で披露される白馬のバレエです。 

    午前中の調教

    一般に公開されている午前中の調教では、音楽に合わせて行われる調教が見学でき、様々な段階のトレーニングを受ける馬たちを見ることができます。また、乗馬ができる観客には、この調教を見学することによって、実際にとても役に立つコツやヒントが数多く得られることでしょう。 通常は火曜〜土曜、10時〜12時30分。

    冬の馬術学校

    午前中の調教とガラ公演の両方で使われているホーフブルク王宮のバロック様式の室内馬場では、ガイドツアーを行っています。ガイドツアーでは、ルネッサンス様式の厩舎も見学することができます。 

    厩舎

    リピッツァーナー馬が住むこの厩舎は、ウィーンで最も古いルネッサンス様式の中庭にあり、馬たちの快適な生活環境が保たれています。 

    フェテ・インペリアル

    7月初旬に開かれるこのチャリティー舞踏会は、スペイン式馬術学校の維持のために行われています。会場には美しい冬の馬術学校が使用されますが、この催しのために舞踏会場として特別に模様替えされます。 

    スペイン式馬術学校内のカフェ

    ホーフブルク王宮のカフェで、リピッツァーナー馬の夏の馬場を眺めながら、美味しいコーヒーやウィーンの味覚を楽しむことができます。

    ピーバー飼育場

    若い雄馬たちは、スペイン式馬術学校に移されるまで間、この牧場で数年を過ごします。この飼育場では、「母の日」に一番若い仔馬を公開します。飼育場は毎日一般公開され、乗馬や馬車、トーナメントや季節毎のイベントが楽しめます。

    ウィーンで出会えるピーバーの馬たち

    7月から8月初めにかけて、スペイン式馬術学校の夏休み期間中の数週間、ピーバー飼育場の素晴らしいリピッツァーナーの白馬が、ウィーンのホーフブルク王宮で特別出演します。 

    ヘルデンベルク

    スペイン式馬術学校で学ぶ雄馬たちは、7月から8月の夏休み中は、ニーダーエスティライヒ州にあるヘルデンベルクの緑豊かな牧草地で自由に走り回り、のんびりと休養します。

    調教見学やガイドツアーに関する詳細(実施日、料金ほか)はこちら

    Spanish Riding School
    Michaelerplatz 1(王宮ミヒャエル広場 入り口は丸屋根の下)
    A-1010 Wien

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