Wien Tourismus
/ Christian Stemper
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言い伝えによると、1683年、包囲攻撃に失敗したトルコ軍が撤退した時に、大量に残されていたコーヒー豆の入った袋を、ウィーンの人々は戦利品として手に入れました。スパイとして宮廷に雇われていたイスタンブール生まれの人物がその豆を利用して、1685年にウィーンにカフェを初めて開業し、真のコーヒーの味を市民に伝えたのがウィーンのカフェ文化の始まりだと言われています。
それから330年近くの時が流れ、今やカフェは世界に類を見ないコーヒーを楽しむ公共の場となりました。ウィーンの人々はコーヒーを愛飲する習慣を文化にまで発展させ、生活に不可欠なものとして昇華させたのです。
カフェに一歩入ると、広々として親しみやすい雰囲気の店内では、大理石のテーブルを取り囲むビロード張りのシート、伝統的な木製の「トーネット」の椅子が寄木細工の床を擦る音や、柔らかなで温かみのある光を反射する鏡など、すべてものが貴方を優しく包み込んでくれます。それらのカフェの中には、時の流れに磨かれて黒ずんだ本物の調度類の名品に囲まれた、独特の重厚な趣を醸し出している店もあります。
一杯のコーヒーがくつろぎへのご招待
たまにはカフェのシートにゆったりと座り、現代社会の喧騒から逃れてください。何世代にも渡り受け継がれてきた、この居心地の良い座席への招待状は、一杯のコーヒーです。貴方の注文したコーヒーが、クライナー・シュワルツァー(エスプレッソ)でも、カプツィーナー(カプツィーノ)でも、アインシュペンナー(ウィンナーコーヒー)でも、はたまたメランジュ(カフェ・ラテ)でも、一度注文すれば後はもう、席に座ってゆったりとくつろぎ、備え付けの各紙新聞に目を通すなり、持ってきた本を読むなり、無料のWi-Fiでネットサーフィンするなり、地方情勢や世界情勢について語るなり、仕事の打ち合わせをするなり、貴方の自由に過ごせばいいのです。また、一部のカフェではトランプでカードゲームや、帝政時代に作られたクラシックなビリヤード・テーブルで玉突きを楽しむこともできます。
生活のすべてがカフェから始まり、すべての人がそれぞれの役割を果たしています。ウィーンのカフェは、リビングルームの延長のような所で、自分の家とは言えないまでも、決して外ではない場所なのです。人々の中にあっても、1人になりたい人にとっては理想的な場所です。カフェは社交の場であり、プライベート・スペースでもあるという二面性を持った特別な場所なのです。ここを訪れる人々は、余暇と創造性を楽しむ伝統を自分が踏襲していることを実感し、時代に合わせて常に進化しているので好きなのです。1900年代、作家の一団が、カフェ文学者として歴史にその名を残しました。彼らはカフェを集会の場としてだけではなく、仕事場としても利用していたのです。そのグループの内の一人が、ペーター・アルテンベルクでした。彼は自分の名刺に住所として行きつけのカフェのアドレスを印刷していました。カフェ・ツェントラルはそのお返しに、彼のモニュメントを設けました。作家たちがカフェを自分たちの物だと主張する以前に、作曲家たちもまたカフェの魅力を発見していました。ヨハン・シュトラウス親子はカフェで新曲を発表し、モーツァルトやベートーヴェンさえもカフェで演奏しています。
好みを叶えるてくれる欲張りメニュー
ウィーンのカフェの特にいいところは、そのサービスにあります。営業時間一つをとってみても、早朝から夜中まで開店しているというのも印象的です。そしてもちろん、給仕係である「ヘア・オーバー」と呼ばれるウェーターは、注文時の迅速な対応と共に、気さくな会話とウィーン子の魅力でもてなしてくれます。そして、忘れてならないのが素敵な席と、美味しい軽食やスイーツなど、心地よくカフェで長居が楽しめる豊富なメニューでしょう。その日のお勧めメニューのほかにも、昔ながらの定番料理には、ソーセージのマスタード添え、オープン・サンドイッチなどがあり、朝食と朝刊の組み合わせなどは、もはや伝説的な注文品目となっています。
もちろん、ケーキやペイストリーは、どこのカフェでも人気のメニューです。そのほとんどは自家製で、店秘伝のレシピを守って丹念に作られています。カフェ・シュペールの「シュペール・シュニッテ」や、カフェ・アルトウィーン自慢のオリジナルケーキも、そんな美味しいものの一つです。1950年代の調度類で人気のカフェ・コルプは、街で一番の「アプフェルシュトゥルーデル」を出す店として評判です。その一方で、時を重ねて黒光りするユーゲントシュティール様式の重厚な木製の内装を誇るカフェ・ハヴェルカでは、午後10時にオーブンから焼き立てのBuchteln mit Powidl(ブッフテルン・ミット・ポーヴィードル)という、パンにプラム・ジャム添えた大人気のメニューが供され、あっと言う間に売り切れてしまいます。
リラックスしに、おしゃべりをしに、スナックを食べに、それとも読書しに、ゲームをやりに、仕事の打ち合わせに、人を見に、それとも人に見られるために...。理由はどうであれ、ウィーン子はとにかくよくカフェを訪れ、そこで必ず何かを得るのです。彼らにとってカフェは、不老不死の薬であり、そこに長く居れば居るほど、その効用があるようです。
リンク:
www.wiener-kaffeehaus.at
有名なウィーンの古典的カフェの特選リスト:
市の中心部:
Café Alt-Wien カフェ・アルトウィーン
Bäckerstraße 9
1010 Wien
Café Sacher カフェ・ザッハー
Philharmonikerstraße 4
1010 Wien
http://www.sacher.com/de-cafe-wien.htm
Café Bräunerhof カフェ・ブロイナーホーフ
Stallburggasse 2
1010 Wien
Café Schottenring カフェ・ショッテンリング
Schottenring 19
1010 Wien
http://www.cafe-schottenring.at
Café Hawelka カフェ・ハヴェルカ
Dorotheergasse 6
1010 Wien
Café Schwarzenberg カフェ・シュヴァルツェンベルク
Kärntner Ring 17
1010 Wien
http://www.cafe-schwarzenberg.at
Café Korb カフェ・コルプ
Brandstätte 9
1010 Wien
Café Central im Palais Ferstel パレ・フェルステル内のカフェ・ツェントラル
Herrengasse 14
1010 Wien
Kleines Café クライネス・カフェ
Franziskanerplatz 3
1010 Wien
Café Landtmann カフェ・ラントマン
Dr.-Karl-Lueger-Ring 4
1010 Wien
その他の地区:
Café Sperlhof カフェ・シュペールホーフ
Große Sperlgasse 41
1020 Wien
Café Goldegg カフェ・ゴルドエッグ
Argentinierstra. 49
1040 Wien
Café Prückel カフェ・プルュケル
Stubenring 24
1010 Wien
Café Sperl カフェ・シュペール
Gumpendorferstr. 11
1060 Wien
Café Westend カフェ・ヴェストエンド
Mariahilfer Straße 128
1060 Wien
Café Weingartner カフェ・ワインガルトナー
Goldschlagstraße 6
1150 Wien
Café Nil カフェ・ニール
Siebensterngasse 39
1070 Wien
Café Weidinger カフェ・ワイディンガー
Lerchenfelder Gürtel 1
1160 Wien
Café Hummel カフェ・フンメル
Josefstädter Straße 66
1080 Wien
Café Ritter カフェ・リッター
Ottakringerstraße 117
1160 Wien
Café Dommayer カフェ・ドムマイヤー
Dommayergasse 1
1130 Wien
Café Weimar カフェ・ワイマール
Währinger Straße 68
1180 Wien
Café Drechsler カフェ・ドレクスラー
Linke Wienzeile 22
1060 Wien