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    • Rotunda Vienna - Vienna World's Fair 1873
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    ウィーン万国博覧会150周年

    ウィーン万博は、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世25周年を記念して、1873年にウィーンプラター公園で大々的に開催されました。ウィーンにとって万博はヨーロッパの大都市として大きな発展を遂げる機会となりました。2023年は開催150周年にあたり、ウィーンでは展覧会を始め様々なイベントが展開されます。

    ウィーン万博は、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世25周年を記念して、1873年5月1日から10月31日まで、ウィーンプラター公園で開催されました。世界で6番目、ドイツ語圏では初めての開催となったウィーン万博のテーマは「文化と教育」でした。プラター公園には中心となるロタンダ(円形建築)と言われる27000人を収容できる印象的な産業パビリオンが建設され、左右に合計約200棟の建物が並び、緑とドナウに囲まれた大規模な展覧会場となりました。ウィーン万博に参加したのはヨーロッパ諸国の他、アメリカ、ブラジル、ベネズエラ、エジプト、ペルシャ、インド、サイアム(タイ)、中国、日本など35カ国に渡りました。6ヶ月の会期中、合計約726万人の訪問者を迎え、前例のない規模の展覧会となりました。

    Vienna World's Fair 1873 - Coloured lithografic print by Carl Waage (Artist) and Heinrich Gerhart (Printer)
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    1873年ウィーン万国博覧会の背景

    様々の論議を経て皇帝の決断により開催が決った万博に対して当初は大きな期待が寄せられていました。実際、それまでにパリとロンドンで開催された4回の万博より、規模も豪華さもウィーン万博ははるかに超えるものでした。万博のために建設ラッシュに湧くウィーン。しかし、その背景には物価の高騰、ビジターの宿泊所確保による市民の住宅事情の悪化、コレラの流行など、諸々の事情がありました。しかし、ウィーン人の新しいものへの挑戦、未来への躍進精神、他国の芸術への理解と関心は、この大規模な博覧会を通じ、産業の発展とともにウィーンを大きく飛躍させることになります。

    実際、万博の開催は多くの良い影響をウィーンにもたらしました。大々的な街のインフラが整備されたことにより、ウィーンはヨーロッパの大都市の一つへと進む推進力をもたらしました。万博に先立って大洪水を防ぐためにドナウ川の大改修が行われ、万博の年には上水道の整備も完成しました。これにより人々の衛生環境が整い、疫病の収束にも役立つことになります。

    1873年ウィーン万国博覧会日本庭園オープニング
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    日本の出展とオーストリアの評価

    1867年のパリ万博での参加時の規模とは全く異なり、1873年のウィーン万博においては、日本は明治政府として初めての万国博覧会参加であるため、出展数のみならず質においても、西洋からの高い評価と認知を得るという目的を持って望みました。案の定、準備の段階ですでに、各新聞メディアは日本が出展する製品を興味を持って観察していました。これほど日本が西洋に直接近づく機会は今までになかったからです。特に漆器、陶磁器、和紙、絹製品など美術工芸品には期待が集まりました。しかし、日本が力を入れたものに、日本庭園がありました。日本から材料、工具、職人をすべて導入したため、日本庭園を造り出す過程は、目を見張って細かく報道されました。西洋人にとってはすべてが新鮮で、珍しいものだったのは明らかです。

    オープンの式典には皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と皇妃エリザベートが臨席し、後に皇帝は日本庭園に大変な称賛を送りました。
    日本が出品した展示品の多くはウィーンに残され、現在はオーストリア応用美術博物館とウィーン世界博物館にて、ジャポニズムの流行を生み出した貴重な資料として展示されています。

    参考文献:たばこと塩の博物館

    プラターに円形パビリオン、ロトゥンデ再現

    新しい観光名所に

    The Rotunda at the South Portal - Vienna World's Fair 1873
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    2023年秋、プラターに巨大なロトゥンデがオープンし、その中で大きなビジュアル スペクタクルを体験することができます。アナログの360 度パノラマの巨大なアートが目の前に現れるパノラマウィーン。プラーターにまったく新しい感覚の観光スポットが誕生します。現在建設中のロタンダは、高さ32メートル、周囲約100メートルの円形建造物で、その元となるのは1873年のウィーン万博博覧会に建設されたロトゥンデです。当時は世界最大のドーム型建造物でしたが、1937 年に火事で消失してしまいました。したがって、万博150年後の2023 年にできるロトゥンデは、このプラーターの伝統の復活でもあります。

    2023年に行われる展覧会

    *)日程は変更されることもあります。

    • ウィーン世界博物館 Welt Museum

      世界の国々、民族の展示が見られるウィーン世界博物館では、1873年ウィーン万国博覧会とその時代に関する展示が紹介されます。また、ウィーン万博に出品し、現在ウィーン世界博物館に所蔵されている展示品に関する情報をまとめた小冊子も配布しています。万博の展示に関するガイドツアーが2023年1月~12月まで、毎週土曜日11時15分から(45分)、ドイツ語と英語で一週間交代で行われます。日本の展示品の一部も新王宮内のこのウィーン世界博物館に展示されています。

      ウィーン世界博物館
          Weltmuseum Vienna
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    • 「Women at work」展 - ウィーン産業技術博物館

      ウィーンの万博では「女性館」が建設されました。今までよく知られていなかった女性の働く世界を可視化することによって、女性労働のニーズと働く女性への理解、女性の平等な教育と賃金を求める女性運動に対する、先駆的な成果も達成しました。パビリオンの運営は、公式には男性の手に委ねられていたが、実際、女性委員会によって主に形成されたキュレーターのコンセプトはセンセーショナルでした。展覧会では産業技術博物館が所蔵している、女性労働関係の資料や万博の展示品とともに映像を通して、当時の女性の仕事の経済的および社会的意味を記念年に検証します。

      2023年5月2日から7月2日まで。

      詳しくは
          ウィーン万国博覧会女性パビリオン150周年
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    • 応用美術博物館 MAKでの2つの特別展

      1873年に因んだ特別展として、一つは150年前のウィーン万博に端を発するオリエンタリズムの流行をテーマとした展示(2023年6月21日~10月22日)、ニつ目は、万博の出展企業であり、今年創立200周年を迎えるウィーン屈指のクリスタルブランド、J. & L. ロブマイヤーに関する展示(2023年6月7日~9月24日)が開催されます。

      MAK
          MAK - Museum of Applied Arts / MAK - Museum of Applied Arts
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    現在に引き継がれるウィーンの出展企業

    J. & L. Lobmeyer in Vienna - Photo Album "Vienna World's Fair 1873"
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    万博に出店したウィーンの手工芸品は、現在でも人気のウィーンプロダクツです。 J. & L.ロブマイヤーはケルントナー通りに店舗をもち、高級なシャンデリアやガラス製品を並べています。またノイアーマルクトに店を構える宝石商A. E. ケッヒャートは当時と同様に高級時計や宝石を扱っています。オーダーメイドの靴職人シェアー、銀細工のヤロシンスキー&ヴォーゴァン、そしてベーゼンドルファーのピアノもまた、すべて万国博覧会に出展され、今日でもウィーンで特別な製品を提供しています。万博にケータリングを担当したゲルストナーは、その機に帝室御用達となりました。また、ウィーンを代表するカフェの一つ、カフェ・ラントマンはこの年に創業開始しました。

    ご存知でしたか?

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