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    オーストリアのテーマ街道と体験街道

    オーストリアほど多くの文化的特徴に恵まれている国はなかなかありません。異なるスタイルは、何世紀も経ていく間に、建築、民俗文化や風習において形を成してきました。特別なテーマ街道に沿ってオーストリアを旅するといかに多くの発見があり、体験があり、味覚を発見できることに驚かれることでしょう。オーストリアにある様々なテーマ街道は人生の最も美しい側面へと導いてくれます。ここでは、愉しいこと、興味深いこと、見るべき価値のあるものを多く経験し、とりわけ伝統的な職人技に長けた土地の人々に出会うことができます。

    シュタイヤマルク州のワイン街道は、州南部の魅力に加えて、この地方の極めて上質なワインと心のこもった料理が名物で、ぜひ訪れご自身の舌で味わっていただきたい魅力溢れる所です。この道と同等に魅力あるワイン街道が、ブルゲンランド州にもあります。ここブルゲンランドは、シュタイヤマルク州のワインと好対照を成す、赤ワインで有名な産地です。
    古い時代や歴史に触れる旅を味わってみたい人には、オーストリアの多彩な歴史をテーマとしている数多くのテーマ街道をお勧めします。例えば、シュタイヤマルク州の城塞街道などはいかがでしょうか? このルート沿いには、各時代の合計18もの城塞や宮殿が、まるで首飾りの真珠のように連なっています。
    ハプスブルクの640年に及ぶヨーロッパ統治には、魔法はほとんど関係がありませんが、政治手腕は大いに関係があったでしょう。現在、ハプスブルク家の人々の足跡は、「皇帝と王たちの街道」でたどることができます。
    オーストリアに足跡を残したのは、何もこの国の統治者ばかりではありません。オーストリアのテーマ街道には、いろいろな地方の伝統工芸を訪ね巡るコースもります。その一つが、シュタイヤマルク州の豊かな森林に囲まれたムーラウ地方を通る木材街道です。ここでは、特産の木材を使って作られた建築物や製品、木材を原料としたエネルギー開発などを見学することができます。また、木を使った楽器作りや、視覚芸術の制作現場も見ることができます。フォアアールベルク州のブレゲンツの森地方のチーズ街道は、アルプスの酪農製品と農家、レストランやチーズ・ショップなどをつなげて、何世紀も続くチーズ作りの歴史と物語を私たちに伝えてくれます。
    あなたの興味は工芸ですか、オーストリアの歴史ですか? 美味しい料理ですか? それとも、そのすべてですか? いずれにしても、オーストリアのテーマ街道を旅するなら、たっぷりと時間をかけてください。どのルートにも好奇心を満足させる見所が星の数ほど煌めいています。

    南シュタイヤマルクのワイン街道

    「シュタイヤマルク人の血はラズベリージュースではない」というのが、シュタイヤマルク州での決まった言い回しです。シュタイヤマルク南部のワイン街道では、ブドウジュースが話題の中心であることが一目瞭然です。エーレンハウゼンとロイチャッハ間のおよそ25kmの街道は、シュタイヤマルクで最も大きなワイン栽培地域です。

    Tement winery in Styria
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    現代のブドウ畑の設計は、地域の景観づくりの一環として、印象的な風景文化を形成しています。そこには、何世代にも渡り、いかにブドウ畑や果樹園、森林、農地を開拓し、成長し伝統を作り上げてきたかがうかがわれます。この継承は今日まで変わっていません。
    南シュタイヤマルクのワイン街道は多くの称賛を受けてきました。ゲストに親切な人々、文化が高いブドウ畑、フレッシュでフルーティーなワイン、質の高いワイン居酒屋(ブッシェンシャンク)、「クラポテッツ」は目に見えるシンボルとして日常化し、地域の人々だけではなく訪れる人々の生活のリズムを作り上げています。南シュタイヤマルク州のワイン街道の際立った地理的特徴は、ブドウ畑を抜ける狭い道、アップダウンの多い丘陵地帯です。もう一つのこの地域の特徴としては、たとえ違う世界観を持っていても、南シュタイヤマルクのワイン街道ではどの地域でも、どんな住人でもゲストをすぐに暖かく歓迎するホスピタリティを持っていることです。
    ワイン街道として60年以上経つオーストリアで最も古いワイン街道に沿って、エーレンハウゼン、シュトラス、アルンフェルス、オーバーハーク、ロイチャッハという牧歌的なワインの生産地が結ばれています。さらにこのワイン街道の特徴としては、数キロメートル先にスロヴェニアとの国境があること、さらに、街道の近隣にあるガムリッツとの友好関係とワインを作る上での協力体制は、郷土愛に満ちた素晴らしいものがあります。南シュタイヤマルク・ワイン街道は、5つのコミュニティを結び、ヨーロッパの最も美しいブドウ栽培地帯の一つとして、伝統ある南シュタイヤマルクの中心軸を成しています。5つの地域にある観光局は周辺の小さな村々も代表し、宿泊などの紹介もしています。グラーツからは約50km、高速道路で約45分のところにあり、週末には人気の高い訪問先となっています。

    ブルゲンランド州のワイン街道

    オーストリアの東端のブルゲンランド州は、シュタイヤマルク州のワインを好対照を成す、赤ワインの有名な産地です。

    Ein Tisch, gedeckt für zwei Personen, steht mitten im Schilcherweingarten.
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    ブルゲンランドは、オーストリアで二番目に大きいワイン産地です。ブルゲンランド中部や、ブルゲンランド南部、ノイジィードラー湖がある辺りでは、およそ16.000ヘクタールものワイン栽培地域が広がっています。抜群の土地や、熱蔵庫や湿度調整器の役割を担うノイジィードラー湖の温暖な気候が、葡萄にとっての理想的な条件を満たしています。
    荒涼とした山脈の間にあるブルゲンランド中部のワイン街道では、特別力強く、土の香りのするBlaufränkische (ブラウフランキッシェ)という赤ワインが有名です。このことから、ネッケンマルク村やホリッツショーン村周辺の地域はブラウフレンキッシュ種の土地と呼ばれています。ホリッツショーンにある1.5kmの長い赤ワインの小道を通り、何百年にも渡る古くからのブドウ園を歩いていくと、この赤ワインに辿り着けます。
    ノイジィードラー湖周辺には、ブルゲンランド州で最も大きなワイン栽培地域があります。ブラウエ・ツヴァイゲルトという赤ワインは、石の多い粘土質の土壌で栽培されます。赤ワインだけでなく、味の豊かな白ワインもここで作られます。

    シュタイヤマルク州の城塞街道

    城塞街道には、各時代の計18もの城塞や宮殿がまるで首飾りの真珠のように連なっています。

    Riegersburg Castle in Styria / Riegersburg, Steiermark
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    オーストリアの南東部は、城塞や宮殿が最も多い地域とされています。このルート沿いには、各時代の合計18もの城塞や宮殿が、まるで首飾りの真珠のように連なっています。神聖ローマ帝国の端に位置していたため、城塞のような威嚇的な建造物が、東から攻め込む敵に対する防御壁の役目を果たしていました。実際これらの多くの城塞は、敵の手に落ちることは決してありませんでした。
    その一つがリーガースブルク城で、850年前に建てられました。シュタイヤマルク東部の真ん中に位置する高さ482mの城塞で、火山のような形をしています。映画「ロード・オブ・ザ・リング」に出てくるような城に似ています。かつて「キリスト教世界で最強の要塞」と言われました。今日では、一般に公開され、エレベーターで昇ることができます。オーストリアの他の多くの城や宮殿と同様に、このリーガースブルク城もその歴史が、リアルで創造性豊かに再現されていす。例えば、魔女の展示の中の拷問の道具などを見ると、子供だけなく大人さえも身の毛がよだちます。その他、歴史を再現した劇に、4月末と、夏の満月の晩に行われる「ヴァルプルギスの夜」があり、魔女と魔術師が主役を務めます。

    このシュタイヤマルクのテーマ地を通り、北に向かうと、ヘーバーシュタイン城やシーライテン城、ハートベルク城といった更なる歴史的建造物に出会えます。ベルンシュタイン城は1000年前に建てられ、ゲシュリーバンシュタイン自然公園の中央に位置します。映画「イングリッシュ・ペーシェント」の一部は、ここで撮影されました。
    そこから、それほど遠くないところに、ロッケンブルク城というオーストリアで最後の本当の騎士の城があります。見どころは、リッターザール(騎士の広間)、ダブルホール、中世のフレスコ画のある礼拝堂です。

    皇帝と王たちの街道

    ハプスブルクの640年に及ぶヨーロッパ統治には、政治手腕は大いに関係があったのでしょう。フランクフルト・アム・マインから始まり、ブダペストまで至るこの街道は、ドナウ川に沿ってかつてのオーストリア・ハンガリー帝国の中心地を貫いています。

    Melk Abbey in the Wachau Valley / Stift Melk
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    フランクフルト・アム・マインから始まり、ブダペストまで至るこのロイヤル街道は、ドナウ河に沿ってかつてのオーストリア・ハンガリー帝国の中心地を貫いています。ドナウ川の旅をゆっくりとお楽しみください。街道では、バロック式の宮殿や修道院、昔の帝室文化の都に建つ壮大な邸宅を見ることができます。このルートは数々の発見や驚きに満ちています。例えば、オーストリア唯一のトラピスト派修道院であるエンゲルスツェル修道院では、美味しい軟質チーズも作られています。更に、修道院で作られる抜群のクロースターリキュールも有名です。そして、岩に沿って180度ぐるりと蛇行するドナウ川の絶景であるシュレーガー・シュリンゲが途中にあります。さらにエファーディングを超えると、訪れた人々を多くの文化的見どころに導いてくれるリンツに到着します。現代アートを扱っているレントスミュージアムは、立体的に光る物体のようにドナウ岸まで伸びています。リンツは中世において数年間、皇帝の宮殿がありました。その時代、オーバーエステライヒ州では、塩や鉄が取れることが豊かさの象徴とされていました。1489年から1493年にフリードリヒⅢ世が居住していたリンツ城は、とても豪華で、今日でもそれが見てとれます。リンツ郊外の音楽家ブルックナーで有名なアウグスティン派サンクト・フローリアン修道院 には、ハプスブルク家の人々が旅の途中で快適に宿泊するための豪華な部屋が16室以上あります。また、あまり知られていませんが、オーストリア最古の町であるエンスは美しい中世の佇まいが訪れる人々を魅了しています。また、メルクのベネディクト派修道院ほどは知られていませんが、オーストリア最古の町エンスの歴史地区では、その美しい中世の佇まいが訪れる人々を魅了しています。そしてドナウの旅はメルク修道院のある世界遺産ワッハウ渓谷を通り、ウィーンに向かいます。「皇帝と王たちの街道」には、その他にもさまざまな時代の歴史や風物、美しい景観、地元の美味しい食べ物など、訪れた人々の好奇心を掻き立てる見所や旅の楽しみがたくさん詰まっています。

    シュタイヤマルク州の木材街道

    豊かな森林に囲まれたムーラウ地方では、特産の木を使って作られた建築物や製品、木材を原料としたエネルギー開発などを見学することができます。木を使った楽器作りや、視覚芸術の制作現場も見ることができます。

    Große Säge beim Holzmuseum
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    木材街道とは、シュタイヤマルク州の豊かな森林に囲まれたムーラウ地方を通る街道のことです。ここでは、建築用だけでなく、エネルギー開発や芸術品にも木材が使用されています。この地域では、木材が何百年という伝統なのです。資源豊かなムーラウは、訪れた人々を歴史的であり、現代的な木の建造物にご案内します。
    統一的で簡単な交通誘導システムのおかげで、ガイドなしでこの地域を楽しむことができます。

    木材街道沿いのムーラウ周辺の景観上魅力溢れる地域では、およそ150kmに渡って70以上もの木を原料とする多種多様なオブジェが並んでいます。
    木材加工のシンボルとしての巨大なキツネの尻尾は、サンクト・ルプレヒト・オプ・ムーラウにおいては、特別なアートを扱うミュージアムへの道を示しています。木材博物館では、過去から現在に至るまでの原料となる木材や木材の使用について見学できます。山林塔などのその他の建物内では、シュタイヤマルク州のあらゆる植物相や動物相について知ることができます。
    また、このムーラウ地域には、支柱を用いないヨーロッパで最大の木造の橋があり、カラマツの木からできています。地上25mの高さにサンクツ・ゲオルゲンとサンクト・ロレンツェンの間を結ぶ、85mの長さのある橋には、550立方メートル以上もの松材が使用されています。また、この60トンもの重さのある木材の運搬には大変な技術が必要でした。この橋はシュタイヤマルク州の木造建築の傑作とされています。

    ブレゲンツの森地方のチーズ街道

    何か理由があってフォアアールベルクやブレゲンツの森に向かう人でも、チーズに見向きをしない人はいないでしょう。ブレゲンツの森地方は、最良なミルクから作る芳ばしい山チーズの産地です。

    Bregenzerwald
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    ブレゲンツの森地域には、多くの素敵な街道があります。チーズ街道とは、バターやチーズの製造を行う山小屋や、農家、料理店を兼ねる宿屋、チーズ店などが連なっている道を意味しています。
    農家の人々が誇りにしているのは、牛たちにサイロ貯蔵飼料ではなく、新鮮な牧草や干し草を食べさせていることです。みずみずしいアルプスの牧草を餌にすることで、山チーズや硬質チーズを作る際のミルクの質に反映されます。谷にある香ばしいチーズ店を訪れるかたわら、アルプスにある農家に足を運んでみるのもいいかもしれません。ブレゲンツの森では、冬が明けるとすぐに牛たちは低いアルプスの牧草地で草を食べます。7月と8月に限っては、芳ばしいハーブや冷たく澄んだ水のあるアルプスの牧草地の頂上に牛たちを放牧します。
    この地域では、あちらこちらでチーズの製造が行われています。ブレゲンツの森には、バターやチーズを製造する小屋が、谷には17以上、山には90以上あります。インゴ・メッツラーの酪農業の学校では、訪れた人々が見学するだけでなく、半日かけて自らのチーズを作ることができます。(2年かかるアルプスチーズや半年から一年かかる山チーズを作ることはできませんが。)

    シュタイヤマルク州のリンゴ街道

    東部シュタイヤマルク州のリンゴ街道では、春になると、約25キロにも渡り、ホワイトピンクの「泡の雲」のように、リンゴの花が見事に咲き誇ります。

    Apple still life at the Styrian apple route
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    州都グラーツに近いグライスドルフとプッフ・ベイ・ヴァイツを結ぶリンゴ街道は、シュタイヤマルク州東部の丘陵地帯を通り、伝統的な農家、牧歌的な村々、静かな森林地帯が絵画的な風景を形成しています。
    この地域はシュタイヤマルク州郷土の作家、ペーター・ロゼッカーが天国と呼び好んで散策をした場所です。2000年前にはケルト人がこの地に住み、やはりパラダイスと感じるところだったに違いありません。
    リンゴの花が咲く季節には丘陵地帯が、白とアワイピンクの花の海となり、秋には熟した果実をつけたリンゴの木々が、メルヘンの世界を生み出します。美しくデザインされた木製の案内板には、伝統工芸の工房や、特産のハチミツ、モスト(果汁)、リンゴのシュナップス(アルコール分の高い火酒)「アバクス」やリキュールを生産する農家が紹介されています。プッフにある「リンゴの家」など、個性的な郷土博物館にもお出かけください。
    4月末にはリンゴ祭りが開催され、馬車や古いトラクターがリンゴ農家や居酒屋に案内し、リンゴ泡スープから、モストブラーテン、アプフェルシュトゥルーデルまで、さまざまなリンゴ料理を愉しむことができます。

    リンゴ街道

    オーストリアの鉄街道

    ニーダーエステライヒ州、オーバーエステライヒ州、シュタイヤマルク州の3の州を通ります。

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    ニーダーエステライヒ州、オーバーエステライヒ州、シュタイヤマルク州の3の州を通ります。中世、この地方の人々の生活は、鉄の採掘の加工を巡って動いていました。鉄街道は、ピュルン・アイゼンヴルツェンのリゾート地方を通ります。この地域はカウクアルペン国立公園となっています。シュタイヤマルク州西部のゲゾイゼ山系から東部のホッホシュヴァープまで、険しい山岳風景を特徴としています。このスカイラインの頂点は海抜1465mのエルツベルクで、同州における鉄鋼産業中心地のシンボルとなっています。鉄鋼山見学コースでは、入り組んだ地下の坑道を進みながら、往年の工夫の生活を垣間見ることができます。「鉄の街道」カルチャーパークには、21の博物館、14のテーマ別ハイキングコース、6つの鍛冶屋があります。

    www.eisenstrasse.info

    鉄の街道
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